

地域猫活動の例
地域猫活動ストーリー
地域猫活動のやり方や進め方、規模や頭数は地域の事情によってさまざまです。ここでは荏原地区の地域猫活動の事 例をご紹介します。
荏原地区某所での地域猫活動例:
(1)地域猫活動を始めるきっかけ:
猫の数が急増、一帯に糞尿のニオイが充満し、いろいろな生活問題が発生。そこで町会の集まりで猫問題を議題に話し合い、地域猫活動に取り組むことに。
(2)猫の調査:
まず一帯を歩いて猫の状況を調査し、猫マップに記入。数多くの不妊されていない猫や子猫が見つかった。ほとんどの猫が栄養不足や発育不良でやせており、猫風邪などに苦しんでいる様子が観察された。繁殖をめぐるケンカが絶えずケガをしている猫も複数頭いた。やがて猫を虐待する人もあらわれ、治安面での不安も声が寄せられるようになった。
↓地域猫活動スタート時点の頭数調査写真より:

(3)猫の急増の原因の排除:
周辺から子猫を集めてきてはエサをあげ、大きくなったらお世話をしない高齢者がいた。町会や民生委員、近隣の住民と協力し、その方を責めて地域から孤立させるのでなく、近所の人たちで清掃チームを組み、捕獲器を置けるように敷地を清掃、2tトラック4台分の粗大ごみを処分。地域の絆を大切にしながら、人も猫も大切にすることで、いっしょに地域猫活動の輪に加わっていただくことができた。
(4)不妊対策と子猫保護:
町会回覧板や掲示板で地域猫活動を周知。また近隣の家にも地域猫活動のチラシをポスティング。猫を保護して順次動物病院に連れていき、健康状況をチェック。不妊手術や具合のわるい猫には治療を進めていった。子猫は保護して、栄養を与えて元気になってから里親を募集。その結果、3年後には約200匹いた猫の数が約10匹に減少した。
(5)猫トイレの設置:
この地区では、猫の頭数が多く、同じ場所に集中していたため、近隣の糞尿被害が大きかった。そこで猫トイレを設置し、そこでトイレをしてもらい、毎日清掃するようにした。その結果、一帯にただようひどい糞尿のニオイは改善され、安心して生活できるようになった。
(6)現在:
ピーク期には約300匹の猫がおり、人も猫も大変なストレスの中で暮らしていた。特に猫たちは過密地帯で厳しい環境にさらされ、病気の猫も少なくなかった。こういった状況を見かねて多くの人が協力したことで、3年ほどで静かで平穏な暮らしが戻った。まだ屋外に猫は暮らしているが、猫トイレやエサの定時定点給餌などを改善したことで、人と猫が平和に共存できるようになった。
(7)学び:
最初はあまりの猫の数に圧倒され、「本当に自分にできるのだろうか?」と不安でいっぱいだった。しかし目の前の悲惨な状態を見て見ぬふりをすることができず、1匹また1匹と、いつか終わりが来ることを信じて続けていった。最初の1-2年は本当に大変だったが、3年目には目に見えて効果が表れ、たくさんの地域の方々から「本当に助かった。ありがとう」という励ましの声や寄付が寄せられた。今となっては、見て見ぬ振りもできたし、途中いろんなことがあって葛藤することもあったが、心の声にしたがい、地域猫活動をやってよかったと思う。